技術アジャスター試験の計算問題対策、第3回です。
第1回では単位・速度・加速度、第2回では力・質量・加速度とF=maを確認しました。
今回は、B分野の力学でつまずきやすい重力mgと斜面のsin・cosを、超基礎から整理します。
今回の学習順
🐣 超基礎 → 🌱 1個だけ計算 → 🔥 試験っぽい問題 → 🎯 アジャスター演習 問206へ
ポイントはひとつだけです。まずmg。斜面が出たら、そのmgを分ける。
🐣 まず「重力」って何?
重力は、地球が物体を下方向へ引っぱる力です。
車を地面に置けば、その車にはずっと下向きに重力が働いています。
平地でも斜面でも、重力そのものは常に鉛直下向きです。
平地にある車にも重力が働く。
坂道にある車にも重力が働く。
違うのは、斜面ではその重力を「斜面に沿う方向」と「斜面に押す方向」に分けて考えるところです。
🐣 「g=9.8」って何?
gは、重力加速度を表す記号です。
地球上では、物体を下方向へ加速させる大きさが約9.8m/s²になります。
ここでは自由落下の細かい話までは入りません。
アジャスター試験の入口としては、まず次の形で押さえればOKです。
g ≒ 9.8m/s²
重力を求めるときは、質量に9.8をかける。
🌱 まず覚える基本はこれだけ
重力の大きさは、mgで表します。
mはmass、つまり質量kg。gは重力加速度9.8m/s²です。

= mg
例題
質量1000kgの車に働く重力は何Nですか?
答え:9800N
この車には、下向きに9800Nの重力が働いています。
⚠️ 超重要「ここまでは斜面じゃなくても同じ」
mg=m×9.8 は、重力そのものを求める計算です。
平地でも斜面でも、まず重力mgは同じです。
sin・cosはまだ使いません。
初心者が混乱しやすいのは、mg、mg×sinθ、mg×cosθを別々の公式だと思ってしまうところです。
そうではありません。先にあるのは、いつも重力mgです。
⛰️ ここから「斜面が出たときだけ」の話
⛰️ 問題に「斜面」が出てきた!
ここからsin・cosの出番!
重力mgは真下を向いています。
しかし車が斜面上にある場合、車は斜面に沿って動こうとします。
そのため、重力mgを次の2方向に分けて考えます。
① 斜面を下ろうとする方向
② 斜面に押しつける方向
🌱 斜面ではmgを2つに分ける
ここで初めて、sinとcosが出てきます。

斜面を下る力 → mg × sinθ
斜面に押しつける力 → mg × cosθ
覚え方:下るsin・押すcos
この2つは、重力とは別の新しい力ではありません。
さっき求めた重力mgを、斜面に合わせて2方向へ分けただけです。
🐣 つまり流れはこれ
質量mが分かる
↓
m × 9.8
↓
重力mgが出る
↓
【斜面じゃない】
そのまま考える
【斜面がある】
mgを2つに分ける
斜面を下る → mg×sinθ
斜面に押す → mg×cosθ
タコタ先生:「まずはmg!斜面が出てきたらsin・cosやで!」
🌱 sin・cosは最低限だけ
三角比の証明までは不要です。
技術アジャスター試験の斜面問題では、まず次の値を見られるようにしておきましょう。
| 角度 | sin | cos |
|---|---|---|
| 30° | 0.5 | 約0.87 |
| 45° | 約0.71 | 約0.71 |
| 60° | 約0.87 | 0.5 |
30°と60°では、sinとcosの値が入れ替わります。
45°は、sinもcosも約0.71です。
🌱 まず30°だけ計算してみる
例題
質量1000kgの車が、30°の斜面にあります。
斜面を下ろうとする力は何Nですか?
1000 × 9.8 = 9800N
② 斜面なので下る力を求める
9800 × sin30°
9800 × 0.5 = 4900N
答え:4900N
先にmgを出してから、sin30°をかけています。
🌱 押しつける方もやってみる
同じ1000kg、30°の斜面
斜面に押しつける力を求めます。
1000 × 9.8 = 9800N
② 押しつける方なのでcos
9800 × cos30°
9800 × 0.87 ≒ 8526N
答え:約8526N
小数処理は、試験の選択肢に合わせて落ち着いて見れば大丈夫です。
🔥 問題文からどっちを使うか判断
問題文の言い方で、sinかcosかを見分けます。
sinを使う言葉
斜面を下る力、斜面方向の力、斜面に沿った力
cosを使う言葉
斜面に押しつける力、垂直抗力、斜面に垂直な方向
摩擦力は次回詳しく扱います。今回は、cosが「押しつける力」に関係するところまででOKです。
🔥 試験っぽい練習問題
問題
質量1500kgの車が、30°の斜面にある。
斜面を下ろうとする力を求めよ。
考え方
いきなりsinをかけません。まずmgです。
1500 × 9.8 = 14700N
② 斜面を下る力なのでsin
14700 × sin30°
14700 × 0.5 = 7350N
答え:7350N
🎯 アジャスター演習「問206」につなげる
今回の内容は、アジャスター演習の問206のような斜面問題につながります。
問206では、質量、30°斜面、重力、斜面方向の力、加速度、ロープの張力などが組み合わさります。
でも、いきなり全部を解こうとしなくて大丈夫です。
30°の斜面
↓
まずmg
↓
斜面方向なのでmg×sin30°
↓
そこへロープの力や加速度の話が加わる
問206が急に意味不明な図ではなく、「何の力を計算しているのか」が見えるようになれば今回はOKです。
ミニクイズ
Q1 質量1000kgの物体に働く重力は?
A. 9.8N
B. 980N
C. 9800N
正解:C 1000×9.8=9800Nです。
Q2 斜面がない問題でも、重力を求めるときに使うのは?
A. mg
B. mg×sinθ
C. mg×cosθ
正解:A 重力そのものはmgです。
Q3 斜面を下ろうとする力を求めるときは?
A. mg×sinθ
B. mg×cosθ
正解:A 下る方向はsinです。
Q4 斜面に押しつける力を求めるときは?
A. mg×sinθ
B. mg×cosθ
正解:B 押しつける方向はcosです。
Q5 sin30°はいくつ?
A. 0.5
B. 0.71
C. 0.87
正解:A sin30°=0.5です。
これだけ覚えよう
【基本】
重力 = m × 9.8 = mg
【斜面が出たときだけ】
斜面を下る = mg × sinθ
斜面に押しつける = mg × cosθ
覚え方
まずmg → 斜面なら分ける → 下るsin・押すcos
次回:④ 摩擦
次回は、摩擦係数、摩擦力、最大静止摩擦力、動摩擦、滑る/止まるを扱います。
今回求めた「斜面に押しつける力=mg×cosθ」は、次回の「摩擦力=摩擦係数×押しつける力」につながります。



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