基本のき③では、mg・mg sinθ・mg cosθの意味を確認しました。
今回は、公式の説明をもう一度長くする回ではありません。
実際の問題に、質量・角度・摩擦係数・重力加速度が一気に出てきたとき、何から計算するかを練習します。
💡 斜面・重力の公式がまだ不安な人はこちら
このページは「実戦編」です。
mgって何? なぜsinとcosに分ける? mg sinθとmg cosθの違いは? 30°・45°・60°がまだ不安、という場合は先に基本のき③を確認してください。
第13回のゴール
今回のキーワードはこの3つです。
★ まずNを出す
★ 力の向きを見る
★ 必要な公式を順番に使う
斜面・摩擦の問題は、公式を思いついた順に入れると迷います。最初に「何を求める問題か」を決めて、必要な値を順番に作ります。
前回の復習|F・m・aは単位で見る
F・m・aは第12回で実戦練習済みなので、ここでは単位だけ短く確認します。

F=力=N
m=質量=kg
a=加速度=m/s²
STEP1|まず「何を求める?」を見る
斜面・摩擦の問題文には、数字がたくさん並びます。
質量
角度
摩擦係数
重力加速度
でも、最初に見るのは数字ではなく、最後の質問です。
摩擦力?
垂直抗力N?
合力?
加速度?
何を求めるかで、どこまで計算するかが変わります。
STEP2|水平面?斜面?
次に、物体や車両がある場所を見ます。
水平面 → 基本は N=mg
斜面 → 基本は N=mg cosθ
ここで斜面だと分かったら、基本のき③で見た分解を使います。
STEP3|質量kgを重力mgへ変える
これは基礎編でやった内容の復習です。
質量kgのままでは摩擦力の式に入れません。まず重力mgにして、Nという力へ変換します。

1000kgなら、
mg=1000×9.8
=9800N
「なんで9.8?」が不安な場合は、基本のき③へ戻って確認してください。
STEP4|斜面ならNを出す
ここが今回の一番大事なところです。
🐙 斜面・摩擦問題の鍵は「まずN!」
摩擦係数μを見つけても、すぐ掛け算しない。
摩擦力=μNなので、まずNを作る。
斜面では、基本のき③で確認したように、重力を2つに分けます。

斜面を滑らせる → mg sinθ
斜面へ押しつける → mg cosθ
垂直抗力 → N=mg cosθ
ここでは詳しい理由を繰り返しません。⑬では「問題でどこに入れるか」を優先します。
mg sinθとmg cosθの意味が不安な場合は、基本のき③で復習してから戻ってきてください。
STEP5|μ×kgを絶対にしない
本番でやりがちなミスはこれです。
× 質量1000kg × μ0.2
これはしない!
μを掛けるのは、kgではなくNです。

斜面なら、質量 → mg → mg cosθ → N → μN の順番で進みます。
STEP6|水平面でウォーミングアップ
水平面は短く確認します。目的は「まずNを出す」感覚をつかむことです。
質量500kg、摩擦係数0.4、重力加速度9.8m/s²。
水平面上の摩擦力を求めます。
答えと解説を開く
mg=500×9.8
=4900N
水平面なので、N=4900N
f=μN
=0.4×4900
=1960N
答え:1960N
STEP7|斜面実戦① 摩擦力まで
質量1000kgの車両が30°の斜面上にあります。
摩擦係数は0.2、重力加速度は9.8m/s²。
摩擦力の大きさを求めなさい。
答えと解説を開く
STEP1 mgを出します。
mg=1000×9.8=9800N
STEP2 Nを出します。
N=mg cos30°
=9800×0.866
≒8487N
STEP3 摩擦力を出します。
f=μN
=0.2×8487
≒1697N
答え:約1700N
STEP8|斜面実戦② 合力まで
同じ条件で、今度は斜面方向に残る力を見ます。
滑らせる方向:斜面の下向き
摩擦の方向:斜面の上向き
向きが逆なので、引き算します。
斜面を滑らせる力:
mg sin30°=9800×0.5=4900N
摩擦力:約1697N
合力:
4900-1697
≒3203N
どっちを引く?
滑らせる力と摩擦力は逆向き。だから差を取る。
STEP9|合力が出たらF=ma
ここまでで、斜面方向の合力Fが出ました。
今度は⑫でやったF=maです。

今回はFとmが分かっていて、aが「?」です。
a=F÷m
=3203÷1000
≒3.2m/s²
答え:約3.2m/s²
斜面・摩擦問題を見たらこれ!
① 何を求める?
② 水平?斜面?
③ 質量kgをmgへ
④ Nを出す
水平 → N=mg
斜面 → N=mg cosθ
⑤ 摩擦力 f=μN
⑥ 必要なら mg sinθ
⑦ 力の向きを確認
⑧ 合力
⑨ 加速度なら F=ma
練習問題1|水平面・摩擦力
質量500kgの物体が水平面上にあります。
摩擦係数0.4、重力加速度9.8m/s²。
摩擦力の大きさを求めなさい。
答えと解説を開く
mg=500×9.8=4900N
水平面なので、N=4900N
f=0.4×4900=1960N
答え:1960N
練習問題2|斜面・Nを求める
質量1000kgの車が30°の斜面上にあります。
垂直抗力Nはいくらか。
答えと解説を開く
mg=1000×9.8=9800N
N=mg cos30°
=9800×0.866
≒8487N
答え:約8490N
この問題では摩擦係数μは必要ありません。何を求めるかを最初に確認します。
練習問題3|斜面・摩擦力
質量1000kg、斜面30°、摩擦係数0.3。
摩擦力を求めなさい。
答えと解説を開く
まずNを求めます。
N≒8487N
そのあと摩擦力です。
f=0.3×8487
≒2546N
答え:約2550N
練習問題4|斜面・合力
質量1000kg、斜面30°、摩擦係数0.2。
重力加速度9.8m/s²。斜面方向の合力を求めなさい。
答えと解説を開く
mg=1000×9.8=9800N
N=9800×0.866≒8487N
摩擦力 f=0.2×8487≒1697N
滑らせる力 mg sin30°=9800×0.5=4900N
摩擦は滑る向きと逆なので、
合力=4900-1697
≒3203N
答え:約3200N
最終実戦|斜面+摩擦+F=ma
質量1000kgの車両が30°の斜面を滑り下りています。
摩擦係数0.2。重力加速度9.8m/s²。
斜面方向の加速度を求めなさい。
答えと解説を開く
mg
=1000×9.8=9800N
↓
N=mg cos30°
=9800×0.866≒8487N
↓
μN
=0.2×8487≒1697N
↓
mg sin30°
=9800×0.5=4900N
↓
合力
=4900-1697≒3203N
↓
F=ma
a=F÷m
=3203÷1000
≒3.2m/s²
答え:約3.2m/s²
摩擦についての注意
摩擦は、静止摩擦力、最大静止摩擦力、動摩擦力などで扱いが変わる場合があります。
この記事では、問題で摩擦係数が与えられ、摩擦力をf=μNとして扱う基本的な計算問題を中心に説明しています。
問題文に最大静止摩擦力、動摩擦係数などの条件がある場合は、その条件を優先してください。
最終まとめ
斜面・摩擦は公式が多く見えますが、順番が分かれば1つずつ処理できます。
★ 摩擦問題の鍵はN
質量
↓
重力
↓
N
↓
摩擦力
↓
合力
↓
F=ma
斜面なら途中で、滑らせるmg sinθと、押しつけるmg cosθへ分けます。
まずN。それから摩擦力。最後に必要ならF=ma。この順番で見れば、斜面・摩擦問題はかなり整理しやすくなります。



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