
中学生の定期テスト対策
江戸幕府の改革をざっくり解説
吉宗・田沼・定信は、同じ「財政の立て直し」に違う方法で取り組みました。誰が、何のために、どんな政策を行ったのかをつなげて整理しましょう。
1. 改革の背景
米の収入と、貨幣で動く経済
幕府や藩の収入の中心は、百姓から集める年貢でした。一方、商業が発達すると、物を買うための貨幣がますます必要になります。支出の増加や米価の変動なども、財政を難しくしました。
農村でも綿花・菜種などの商品作物の売買が広がり、問屋から原料や道具を借りて生産する問屋制家内工業が発達しました。豊かな農民が地主になる一方、土地を失って小作人になる人も現れ、貧富の差が広がりました。
改革は人物の思いつきではなく、社会の変化や財政の問題への対応として理解しましょう。
2. 三つを比較
まずは人物・役職・順番
| 政治 | 人物・役職 | 年と主な着眼点 |
|---|---|---|
| 享保の改革 | 徳川吉宗/8代将軍 | 1716年開始/倹約・年貢収入 |
| 田沼の政治 | 田沼意次/老中 | 1772年老中就任/商業・貿易 |
| 寛政の改革 | 松平定信/老中 | 1787年開始/倹約・農村・秩序 |
老中は、将軍を支えて幕府の政治を担当した役職です。田沼と定信を「将軍」と答えないようにしましょう。
「米・商業・米と秩序」は特徴を思い出す目印です。ただし、それぞれの政治が米だけ、商業だけに限定されたわけではありません。
なお、一般に「江戸の三大改革」は享保・寛政・天保の改革を指します。このページの三つには田沼の政治が含まれるため、その呼び名とは区別します。
3. 享保の改革の経済
吉宗は倹約と年貢収入を重視
吉宗は支出を減らす倹約を求め、新田開発で耕地を増やしました。豊作・不作にかかわらず一定の年貢を取る定免法は、収入の安定を図る一方、不作の年には百姓の負担が重くなり得ました。
上米の制(あげまいのせい)では、大名に米を納めさせる代わりに、参勤交代の江戸滞在期間を短縮しました。参勤交代そのものを廃止したわけではありません。
年貢・上米・飢饉の備蓄は、誰が何のために米を扱うのかで分けます。
4. 享保の改革の政治
目安箱・公事方御定書・学問
庶民の意見を受け付ける目安箱を設け、1742年には裁判や刑罰の基準となる公事方御定書(くじかたおさだめがき)を定めました。従来の判例などを整理したもので、現代の憲法と同じものではありません。参考:国立公文書館・公事方御定書
吉宗は生活や政治に役立つ実学も重視しました。キリスト教に関する書物などを除き、漢訳洋書の輸入制限を緩め、西洋の知識を取り入れるきっかけを作りました。
似た「政治の政策」でも役割は別です。用語から目的まで言えるか確かめましょう。
5. 人々の要求
百姓一揆と打ちこわし
農村では、年貢の軽減や不正な役人の交代などを求める百姓一揆が起こりました。都市では、米価の上昇などに苦しむ人々が、米を買い占めた商人の店などを襲う打ちこわしが起こりました。
学習上は「百姓一揆=百姓の共同の要求」「打ちこわし=商人の店などへの攻撃」と整理します。ただし、現実の行動は多様で、すべての一揆が武器による戦闘だったわけではありません。
傘連判状は、円形に名を並べて中心人物を分かりにくくし、参加者が連帯して責任を負う意思を示しました。資料問題では、形の特徴から目的を説明します。
6. 田沼の政治
商業と貿易からも収入を得る
田沼意次(たぬまおきつぐ)は、商工業者の同業組織である株仲間の営業を認め、税を納めさせました。年貢だけでなく、発達した商業を財源にしようとしたのです。
長崎貿易では銅や俵物などの輸出を重視しました。俵物は、いりこ・ふかひれ・干しあわびなどの海産物です。参考:長崎税関・俵物役所
両替に便利な南鐐二朱銀(なんりょうにしゅぎん)を発行し、干拓や蝦夷地の開拓・調査にも取り組みました。ただし、工事や計画がすべて成功したわけではありません。
賄賂の横行が批判され、天明の飢饉なども政治への不満を強めました。批判された点と、商業に注目した政策の内容を分けて押さえましょう。
7. 寛政の改革
定信は農村と秩序を立て直す
松平定信(まつだいらさだのぶ)は吉宗の政治を理想とし、倹約を進めました。都市に出稼ぎに来た人々の帰農を奨励し、商品作物の栽培を制限して米の生産を重視しました。囲米(囲籾)で食料を蓄え、飢饉にも備えました。
棄捐令(きえんれい)は、旗本・御家人が札差から借りた一定の古い借金などを帳消しにする救済策でした。全国民の全借金をなくす制度ではありません。
寛政異学の禁では、幕府の学校で朱子学を正学とし、それ以外の儒学の講義を禁じました。出版物も取り締まり、身分や社会の秩序を重視しました。全国の学問をすべて禁止したと覚えるのは誤りです。参考:文部科学省・学制百年史
人足寄場を設け、無宿人などに仕事の技術を学ばせ、更生を図る政策も行いました。参考:白河市・松平定信の政策
8. テストの整理
「人物・対象・目的」で取り違えを防ぐ
| 用語 | 人物 | 対象・目的 |
|---|---|---|
| 上米の制 | 吉宗 | 大名から米/幕府の収入 |
| 囲米 | 定信 | 米などを備蓄/飢饉への備え |
| 株仲間の公認 | 田沼 | 商工業者/税収を増やす |
| 棄捐令 | 定信 | 旗本・御家人/借金の救済 |
| 公事方御定書 | 吉宗 | 裁判・刑罰/基準を整える |
| 寛政異学の禁 | 定信 | 幕府の学校/朱子学を重視 |
「田沼が株仲間を認めた理由」なら、「商工業者に税を納めさせ、幕府の収入を増やすため」と説明できます。
三つの政治に共通する課題は財政の立て直しです。違いはその手段。政策を良い・悪いの一言で片づけず、ねらいと人々への影響の両方を考えましょう。
9. 確認クイズ
解説付きフラッシュ問題・全50問
江戸幕府の改革のフラッシュ問題
享保・田沼・寛政・政策比較 / 全50問
10. 続けて復習
産業の発達と政治をつなげる
江戸時代の暮らしと産業 / 元禄文化 / 総合フラッシュクイズ263問
産業が発達すると、人々の暮らし、文化、幕府が必要とする政策も変わります。用語をつなげながら復習しましょう。
参考資料・挿絵について
提供された問題集の範囲をもとに、公的資料で補足しました。学校指定の表記・出題範囲を優先してください。アイキャッチはユーザー提供の学習用イラストで、人物や建物を正確に復元した史料ではありません。



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